今週も、ノートを作っては明細書を読み、またノートを作っては明細書を読みの繰り返し作業を行っております。
昨日は電動モータに関する明細書を読んだのですが、そもそもモータとは何なのか?を簡単にまとめたのと、読んだ明細書について感じたことを記します。
モータとは?
身近にモータは沢山使われています。プリンターの紙を送る部分はモータで動作しています。自動車では、電動サイドミラーや、電動ウインドウ、家庭では、ドライヤーや髭剃りなどもモータが使われいます。
英語ではmotor、日本語では原動機。さらに電気で動く原動機は英語でelectric motorは日本語では電動機と呼ばれます。
モータを構成する大きな要素は5つあります
- ロータまたは回転子:回転する部分
- ベアリングまたは軸受け:ロータの回転軸を支持する部分
- ステータまたは固定子:ロータを回転させるための力を発生する部分
- ブラケット:ベアリングを支持し、ステータと一体になっている部分
- リード線:モータに電力を供給する電線
参考 https://www.nidec.com/ja-JP/technology/motor/basic/00002/
モータの動作原理
モータの回転の原理は物理で学んだ磁界の力が関係してきます。
回転を起こすために必要なものは、磁石、コイル、整流子、ブラシの4つ。
N極とS極の間にある空間にコイルを設置し、コイルには整流子を設置、
ブラシの両側それぞれに電線を接続し、ブラシに電流が流れるようにする。
ブラシと、整流子が接触している時にコイルに電流が流れ、整流子とブラシが離れるとコイルに電流は流れない。
コイルに電流が流れると、フレミングの法則により、磁力と電力からコイルを回転する力が発生する。
回転すると、ブラシと整流子の接続が切れ、いったん電流は流れなくなる。
が、勢いでコイルはそのまま回転を続け、再び、ブラシと整流子が接続し電流が流れ、
またフレミングの法則によってコイルが回転する力が発生する。
参考 http://wakariyasui.sakura.ne.jp/p/elec/jibauke/tyokumota.html
これをモータの構成要素に当てはめると、磁石はステータにはめ込まれた永久磁石、コイルはロータに取り付けられ、ロータに整流子、ブラシが設置されて、モータは回転します。
参考 http://micro.rohm.com/jp/techweb_motor/knowledge/basics/basics-03/87
上記はステータに永久磁石が取り付けられて、ロータにコイルが取り付けられたモータの例ですが、ステータにコイルを取り付け、ロータに永久磁石を取り付けて、原理を逆転させたモータもあります(ブラシレスモータ)。
永久磁石は、モータに使用される磁石で磁界の発生源となります。
モータに関する技術の明細書
特開2001190047
【出願人】本田技研工業株式会社
【発明の名称】電動モータのロータ冷却装置
目的は電気モータのロータを冷やすこと。
従来から電気モータを冷やすことを目的とする技術はこれまでも開発されてきた。
例えば、モータのハウジングに水冷ジャケットを形成し、そこに冷却液を流すという技術。ただ、その方法だと、ロータの外側に位置するステータは冷却できても、ステータの内部に位置するロータは冷却できないという問題が残っていた。
そこで、考えられたのが、モータ外部から冷却するのではなく、内部から冷却したらどうか?というのが、この技術の発想。
具体的には、電気モータのロータのヨーク部分(ロータの構成部品の一部)に潤滑油が通る冷却用油路を設置し、ロータを冷却する。
ポンプでケーシング内(オイルを溜めておく箇所)からオイルをくみ上げ、油路を通して潤滑油をロータ(ヨーク部)に送り、また戻す。冷えたオイルがロータを冷やし、ロータから吸熱したオイルがケーシングに戻るがこの過程で、動力装置の潤滑油として機能し、温度を持っていることから早期昇温が可能。フリクションロスが低減できる。
※フリクションロス:エンジン全体の「摩擦」や「抵抗」=「フリクション」
言葉にしてしまうと簡単な感じがしてしまいますが、
部品に油路を作ると言っても、それを加工する寸法や、他の部品や機構に干渉しないように油路を作成するのはミクロの世界だろうし、加工した通路から油が漏れ出ないようにするシール材がどの材質で、どんな耐久性があるかの考察も必要だし、その部品の生産ラインにしても、今までとは違う工具を取り入れたり、生産システムを考えなければいけないし、多くの人の手と思いが含まれることが考えられます。
発想はシンプル。熱すぎます⇒では冷やしましょ。
じゃどうします?⇒こんなアイデアはどうですか?
じゃ、実際やってみよう⇒⇒⇒ここからの工程は想像をはるかに超える手間と作業が必要とされます。
そこに思いを馳せたときに、技術開発ってすごいなとこの技術の明細書を読みながらある種の感動を覚えました。
簡単ではありますが、モータについての構造と原理と、読んだ明細書から感じたことをまとめてみました。
ちょうど、モータについて構造と原理を知りたかったという方の為になれば幸いです。
学習記録 9/1~9/4
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