学習記

化学の学習で得た道具を使ってみて初めてその道具の意味が理解できた

只今、化学増幅型レジストに関する明細書の対訳学習をしています。

昨日、レジストの材料の生成方法の中で「pump off:除去する」という訳があり、なぜpump off=除去なのだろうか?この訳で良いのか?仮に除去するであっているとして、自分が訳すときに除去すると訳出できるのだろうか?と疑問に思い整理をしました。(そもそも、この時点では言葉でしか追いかけていませんでした。)

Synthesis of 1-methoxycyclohexene (MOCH)
500 mg of p-toluene sulfonic acid monohydrate was placed in a 2000 ml flask.
Under vacuum, the acid was heated with a heat gun to dry the glassware and to get rid of the hydrate from p-toluene sulfonic acid.
Approximately 750 ml of dimethoxycyclohexane (from TCI America) was added to the acid and a silicon oil bath located beneath the 2000 ml flask was heated up to about 80 -90°C.
The reaction was carried out overnight under vacuum to pump off the generated methanol.
On the second day, the oil bath was raised up to about 110°C to distill the 1-methoxycyclohexene.
The purity of MOCH was determined by NMR to be about 95-100%.

参考:EP0932082 (A2)Chemically amplified resist composition and method of creating a patterned resist using electron beam

該当箇所の公開訳文は

発生するメタノールを除去するために真空下にてこの反応を一晩実施した。

要約すると、p-トルエンスルホン酸とジメトキシシクロヘキサンを反応させ、発生するメタノールを除去し、1-メトキシシクロヘキセン(MOCH)を得るというのが大きな流れです。

と今は言えますが、腑に落ちるまでには整理が必要でした。

 

はじめは「pump off」の意味が何なのか検索しましたが、pump offで適当な訳語は見つからず、

pump:ポンプでくみ上げる、注入する、+off:外に出すで、抽出する、組み上げる、吸い取るといったイメージを思い浮かべました。

次に、この文章の前後の化合物の合成を、ノートに書き出して整理、

1-メトキシシクロヘキセンとか、p-トルエンスルホン酸とか、長い名前の化合物=理解できないという抵抗感が初めはあったのですが、

ノートに書いてみてると、p-トルエンスルホン酸のOHとジメトキシシクロヘキサンのCH3が反応してメタノール(CH₃OH)が発生するという、化学の基礎知識で腑に落とすことができました。

この時点で、目的物質:1-メトキシシクロヘキセンを生成する為に、発生するメタノールは除去されるということは理解できたのだけど、なぜ、「pump off」なのか、なぜ「remove」などが使われなかったのはなぜだろうか?という疑問が残り、

次に「under vacuum 」に着目、真空下or減圧下でメタノールが発生するとどういう状態になるのかを整理。

真空にすることで容器(フラスコ)内は減圧され、メタノールの沸点が下がる。

コンテキストの中からメタノールが発生する環境の中にオイルバス80 -90°Cにて温めることがある。沸点をコントロールすることでこの場合での目的物質(エタノール)だけを分離が可能。⇒化学で学習した飽和蒸気圧や減圧蒸留の記憶がよみがえり、ノートに描く。

やっと、ここで、「pump off」がどんな状態かビジュアル的に理解でき、初めにイメージした抽出する、組み上げる、吸い取るといったものよりも、より鮮明にイメージでき、さらに、訳出されいてる「除去する」の裏側にこのイメージを貼り付けることができました。

ここにきて化学で知った道具を使ってみてやっと腑に落とせたという感覚で、飽和蒸気圧や減圧蒸留も化学を学習した時点では全然理解できてなかったです。使ってみてようやくその意味が分かりました。

また、自分が翻訳する場合、ここまでのことは理解していないと、「除去する」という訳出もできないし、他の日本語をあてても説明できるとことはできず、思いっきり誤訳してしまう可能性が高いな。と恐怖も感じました。

これから先、この場面を沢山増やして知識を定着させる。⇒明細書の中でどんどん構築していく。それも膨大な量を。講座で例えられる螺旋階段を登るということが理解できた気がします。

学習記録 8/10 8/11

2717_誤訳研究の重要性

半導体技術動向調べマインドマップ作成

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