自動車

デファレンシャル

本日はデファレンシャルについてまとめます。

デファレンシャルと検索すると、差動装置というもので、

差動装置(さどうそうち)は機械的機構の一種で、二つの部分の動きの差を検出、あるいは動力に差をつけ振り分ける装置。歯車を使った差動歯車やねじを使ったものなどがある。-Wikipedia

といった説明があります。

が、一体何のことなのか、これだけでは分かりませんね。

まず、デファレンシャルが自動車のどこにあるのかを見てみます。

参考 特開2018-123911
デファレンシャルギヤとドライブシャフトとの結合構造及び車両の製造方法
マツダ株式会社

この図を見るとエンジンが自動車の前方にあり、デファレンシャルは自動車の後方にあります。また、デファレンシャルは後輪の左右の車輪と車輪の間に位置しています。

自動車は、駆動方式によって分類され、

FF方式:フロントエンジン・フロントドライブ:エンジンが車両前方に設置され、前輪が駆動。

FR方式:フロントエンジン・リアドライブ:エンジンが車両前方に設置され、後輪が駆動。

このほかにRR方式:リヤエンジン・リヤドライブ。さらに4WD:4輪駆動方式があります。

デファレンシャルは駆動輪に設置されるので、上でお借りした図では、フロントにエンジンがあり、後輪にデファレンシャルがあるので、FR方式の車両の例になります。

また、4輪駆動方式の車両がデファレンシャルが前後の車輪に1つづつ設置されます。

デファレンシャルの役目

自動車の車輪はエンジンからの力を受けて回転しています。前輪、後輪の左右の車輪はそれぞれ繋がっています。

左右の車輪が同じ向き、同じ回転数で回転し自動車は直進します。

さて、自動車が右に曲がる、左に曲がるといったコーナリング時、回転している左右の車輪はどのような動きをするのでしょうか?

左右が同じ回転を保ったままコーナーを曲がろうとするとどうなるのでしょうか?

仮に自動車が右に曲がるとします。内側となる右側の車輪より外側の車輪の方が長い軌道が必要となります。言い換えると、左側の車輪は右側より回転する回数が多くなければなりません。

もし、車輪が左右同じ回転数を保ったまま、コーナーを曲がろうとすると、どちらかのタイヤが空転したり、滑ったりしてスムーズにコーナリングができません。また、なるべく空転を少なくしてコーナーリングをしようとすると、とても大きな弧を描くことになります。

余談ですが、直進で加速して、ハンドルを切りった瞬間にサイドブレーキを引いて、タイヤをロックさせて車体を滑らせる、スピンターンでしたら小回りターンが可能かもしれません。

話を戻して、自動車が角を曲がるなどのコーナリングをする際に、右車輪と左車輪を異なる回転数にすることを可能にするのが、デファレンシャルの役目です。

デファレンシャルは、ギザギザの歯を持った複数のギヤ(歯車)を組み合わせて動きます。

エンジンから出力される動力をプロペラシャフトという回転する軸からデファレンシャルの伝達されます。デファレンシャルは、ドライブピニオンギヤ、リングギヤ、ピニオンギヤ、サイドギヤという複数のギヤ(歯車)が組み合わさっています。

この複数のギヤの組み合わせにより、プロペラシャフトから伝達された動力(回転)を、直進時は左右の車輪に同じ回転数、コーナリング時は、左右の車輪に異なる回転数を伝達します。

原理と動作については、以下の動画が大変わかりやすく説明されています。

尚、動画のなかでは、ピニオンギヤはスパイダーギヤと呼ばれています。

デファレンシャルは蒸気自動車ではありますが、自動車用に開発され特許が取得されたのは、1827年、およそ190年前。

1827年 フランスの機械技術者で時計職人だったオネシフォール・ペックールが蒸気自動車を製作しこのとき差動歯車を開発しこれで特許を取得した。現代の自動車で使用されている技術である。-Wikipedia

複数の歯車を使用して多方に異なる回転数を生み出す原理は、かなり古くから利用されていて、自動車には必要な装置です。

自動車がひとたび動き出せば、デファレンシャル内部のギヤも常に回転をしていて、車体の振動も受けるので大変負荷がかかる部分で、強度が必要となります。また、複数の歯車が密接にかみ合っているので、かみ合いの正確さが必要になります。

190年前に開発されたデファレンシャルは、現在でも、各自動車メーカーによって、使用されるパーツの強度をはかったり、複数のギヤを正確に組み立てる装置などの開発が進められ改良が計れらています。

デファレンシャルに関連する特許

ダイハツ工業株式会社
特開2017-198238 デファレンシャルギヤケース

この特許ではデファレンシャルのリングギヤが溶接されているケース(デファレンシャルを取り囲む部分)が、リングギヤにかかる応力によってケースとリングギヤの溶接部分が破損する恐れがあるのを、ケースを2つに分けて、ケースの組付け箇所を変えて、リングギヤにかかる応力をケースが受けないような技術です。

また、デファレンシャル装置の組み立てて装置に関する開発もされています。

トヨタ自動車株式会社
特開2016-215301 デファレンシャルギヤ組み付け方法及びデファレンシャルギヤ組み付け装置

アイシン・エィ・ダブリュ株式会社
特開2014-61572 デファレンシャルギヤの組立装置および方法

 

学習記録 11/14

デファレンシャルギヤについてまとめ
関連特許検索

トランスミッションついて

●特開2017-94829 いすゞ自動車株式会社
ハイブリッド車両及びその制御方法

●特開2018-114903 アドヴィックス
車両の制動制御装置

文法参考書資料読み

13h30m

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