自動車

回生ブレーキシステム(自動車)

電気自動車、ハイブリットカーに使われている回生ブレーキステムについてのまとめです。

回生ブレーキとは・・・

自動車のブレーキは、自動車のスピードを減速させたり、自動車を停止する時に使う装置です。自動車はタイヤが回転することにより前進(もしくは行進)していますが、運転者がブレーキを踏む力がブレーキシステムへ伝達し、ブレーキシステムがタイヤの回転速度を摩擦によって減速しつづけ最終的にタイヤの回転をとめます。

こブレーキの摩擦によって、回転体の回転エネルギーが熱エネルギーに変わり、環境中に放出され回転エネルギーがどんどん減少して回転がとまります。発生するエネルギーは使われることなく捨てられていました。

回生ブレーキシステムはその環境中に放出されていた熱エネルギーを電気エネルギーに変換して、バッテリーに蓄積し、エンジンの加速時のモータを動かす動力や、自動車の電装品(ライト、エアコン、オーディオなど)へ電気を送るなど、変換されたエネルギーを再利用するシステムです。

「回生」とは、生き返ること、よみがえること、蘇生。といった意味で、回生ブレーキシステムは英語では「regenerative braking system」よ呼ばれます。

また、「regenerative」は”再生的な、更生させる; 生まれ変らせる, 改心させる; 改新の, 改造の”といった意味があります。(研究社 新英和大辞典第6版より)

言葉のとおり、死んでいたエネルギーを蘇らせて使うシステムです。

回生ブレーキの3要素

回生ブレーキのしくみを大きく3つの要素に分けて説明します。

  • 発電
  • ブレーキ
  • 蓄電

発電

まず、回生ブレーキシステムの要素として、どのように熱エネルギーを電気エネルギーに変えるのか?言い換えると、どのようにして、摩擦によるエネルギーで発電するのか? を見ていきます。

回生ブレーキシステムでは、駆動系(原動機の動力をタイヤまで伝達する部品群 -新日英中自動車用語辞典 自動車技術会)に、モータ(電動機)・ジェネレータ(発電機)が設置されていて、運転者がアクセルを離した時、または、ブレーキを離した時に、モータ・ジェネレータのジェネレータが作動し、駆動系の回転でジェネレータの軸を回転させて電気を発生させます。

自転車のライトを思い出していただくと分かりやすいのですが、通常、自転車の前輪についているライトは、スイッチをONにすると、タイヤとライトの一部が接触し、ペダルが重くなりペダルを漕ぐ力を強め、タイヤを回転させ続けると、電気が光りますよね?

これは、自転車の回転するエネルギーを自転車のライトのダイナモというジェネレータ(発電機)で、電気エネルギーに変えて、自転車のライトは光ります。

回生ブレーキでは、このジェネレータのスイッチを、運転者がアクセルを離した時、または、ブレーキを踏んだ時にONにして、発電するような仕組みになっています。ジェネレータのスイッチがONになってから、回転が止まるまで発電が可能となります。また、自動車に搭載されいてる制御システムが、センサーからの信号を判断して、回生ブレーキのジェネレータのスイッチをONにするかOFFにするかをコントロールしています。

ちなみに、モータ(電動機)・ジェネレータ(発電機)の、モータ(電動機)、ジェネレータ(発電機)の違いをまとめると、

モータ(電動機) ネレータ(発電機)
特徴 電気エネルギーを力学的エネルギーに変換する電力機器 機械的エネルギーから電気エネルギーを得る電力機器

回生エネルギーシステムでは、ジェネレータ(発電機)で得た電気エネルギーは一旦、バッテリーなどの蓄電装置に蓄電されます。バッテリーが放電してモータ(電動機)に電圧がかかると、モータ(電動機)は回転して電気エネルギーを出力し、エンジンの加速や、自動車の電装品に電気を送る仕組みとなっています。

ブレーキ

油圧ブレーキ

ここでは、回生ブレーキのブレーキに焦点をあてますが、その前に、「ブレーキを踏んで車が止まる。」通常のブレーキの仕組みを簡単にまとめます。

ブレーキシステムは、ブレーキペダル、ブレーキマスターシリンダー、ブレーキホース、ブレーキホイールシリンダ、ブレーキパッド、ディスクロータといった部品から成り立っています。

ブレーキマスターシリンダー、ブレーキホース、ブレーキホイールシリンダーにはブレーキ液(ブレーキフルード)が入っていて、外部から力が入ると油圧がかかります。

ブレーキペダルを踏むと、ペダルを踏む力がマスターシリンダー ⇒ ブレーキホース ⇒ ブレーキホイールシリンダ と油圧として伝わり、ブレーキパッドが、タイヤと共に回転しているブレーキディスクを両側から挟んで回転を止めます。

人間が踏む小さな力で何トンもある自動車を止めるブレーキシステムは、「密閉した容器内で静止している流体は、あらゆる地点の圧力が等しい」というパスカルの原理が応用されています。

密閉した容器内で静止している流体(ブレーキ液)はあらゆる方向に均等に圧力がかかっていますが、外部から一か所の圧力を高めると全体の圧力が高まります。

回生ブレーキ

回生ブレーキシステムは、回生ブレーキと油圧ブレーキを強調制御します。

回生ブレーキのメカニズムは、運転者がアクセルペダルから足を離したとき、または運転者がブレーキペダルを踏んだ時に、モータ・ジェネレータのジェネレータスイッチがONとなり、駆動系の回転体がジェネレータを動かします。このエネルギーが摩擦力となり回転体の回転を減速させます。発電と制動(ブレーキング)が同時に起きることになります。

ただ、ジェネレータと駆動系の回転体の摩擦による制動力(ブレーキ力)は、油圧ブレーキ力よりは弱いので、ブレーキの効き初めにジェネレータによる制動力(回生ブレーキの制動力)を利用し、制動後期に油圧によるブレーキ力(ブレーキペダルから伝わる油圧による制動力)を利用します。この切換のタイミング、制動力の強さなどはセンサー等で感知され、制御システムによってコントロールされます。

参考 https://www.toyota.co.jp/jpn/tech/environment/technology_file/hybrid/regenerativebraking.html

蓄電

回生ブレーキによって発生した電気エネルギーは複数の異なる蓄電装置に蓄電されます。

例えば、以下の特許明細書を参照すると、

電気負荷で発生する回生電力を使用して、2つの蓄電装置を適切な態様で充電する電力供給システムを提供する。

-特開2017-99243 本田技研工業株式会社 「電力供給システム及び輸送機器、並びに、電力伝送方法」

2種類の蓄電装置の特徴の違いが説明されています。

第1蓄電装置 第2蓄電装置
リチウムイオン電池、燃料電池、空気電池等 リチウムイオン電池、ニッケル水素電池、キャパシタ等
特徴1 エネルギー密度が高い(単位重量当たり又は単位体積当たりに貯蔵し得る電気エネルギー量 出力密度が高い(単位重量当たり、又は単位体積当たりに出力可能な電気量
特徴2 多くの電気エネルギーを貯蔵し得る 瞬時的に大きな電力を出力することが可能

蓄電装置(バッテリー、キャパシタなど)は種類によって特性が異なりそれぞれの用途に合わせて使用されます。

参考 https://www.tdk.co.jp/techmag/electronics_primer/vol8.htm

バッテリーとコンデンサの違いは、

バッテリーは二次電池(充電して繰り返し使える電池)で、イオンになりやすい金属と、イオンになりにく金属の電極が電解液の中で酸化還元反応を起こし電気を発生します。

Capri23auto / Pixabay

対するコンデンサは、絶縁体を電極となる金属板2枚で挟み、金属板(電極)に直流電圧(DC)をかけると片方の電極に電子が集まりマイナスに帯電、もう片方の電極は電子が不足しプラスに帯電します。電圧を加えるのをやめても、帯電の状態は維持でき電極の間に電荷が蓄えられます。

またエネルギー回生システムを搭載している自動車にはメーカーによって、電気二重層キャパシタという、特殊タイプのコンデンサを採用しています。

学習記録 11/12

明細書読み
特開2017-099243 本田技研工業株式会社
電力供給システム

エネルギー回生システム ノートまとめ
エネルギー密度、出力密度について
バッテリー、キャパシタの違い
電気について基礎知識 単相、三相交流モータ、インバータ
熱力学の復習

文法参考資料読み

学習時間:13h

明日の計画

自動車の構造基礎知識まとめ 1h

インバータ基礎知識まとめ 1h

回生ブレーキに関する明細書読み4件 8h

文法参考書資料読み 2h

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